数あるパソコンの中で、妥協しない性能を持ちつつもリーズナブルなものを選べと言われたらこれだというパソコンが6月中旬に発表された。今回は、その根拠について詳細に解説するとともに、このパソコンのライバルたちとも比較をしてこのパソコンがどれだけコスパが高いかを伝えようと思う。
目次
MateBook13のコンセプト・ほかのMateBookシリーズ(近縁種)との違い
MateBook13そのもののコンセプト

コンセプトは公式サイトやプロモーションビデオの通り、スタイリッシュさと高性能さを兼ねたクリエイターブック。
Huaweiには悪いが、MateBookは見た目どころか機能までAppleのMacBookのコピー品でしかない。外観はアルミの削り出しボディだし、開けばキーボードもロゴも配置もそっくり。公式サイトの画像も本家MacBookに寄せたものがあり一目で区別がつかないものが多数ある。


しかしながら、機能や見た目がそのままに安く買える「オトクなMacBook」であるのも事実である。MacBookそれ自体はAppleエコシステム(Apple製品同士の密接な連携)のために購入するユーザーが多いが、Huaweiユーザーにそのシステムやユーザー体験を提供するためのコアとなるのがMateBookなのだ。
後述するが、Appleエコシステムが高いのに対して、Huaweiエコシステムは非常に低いコストでその連携を可能にする。例えばスマートフォンでも、新品の値段が5万円するiPhoneと2万円のHuaweiスマホ、タブレットでも4万円のiPadと2万円のMatePadだとシステムの入りやすさにかかるコストは非常に少ないものになるのだ(もちろんシステムに着目した場合であって、iPhoneとiPadの両デバイス自体は非常に優秀だ)。

このようにデザイン性と高性能、高機能を追い求め、なおかつ簡単に体験を享受できるのがHuawei製品のメリットである。
MateBook13 AMDのintel Coreモデル、D15との違い
ではこれから、AMDモデルとIntel Coreモデル、そして同じチップセットを持つD15との違いについて考えよう。
MateBook Intel Coreモデルとの違い

MateBook13 Intel Coreモデルとの違いはプロセッサーとメモリ、同梱品である。使い勝手で言えばバッテリー駆動時間(プロセッサーの違いが理由)。それ以外は筐体サイズも寸分違わず同じである。
MateBook13 2020について詳細に解説した記事はこちら。
CPUについて
AMDモデルのRyzen5 3500Uに対してIntel CoreモデルはCore i5-10210Uである。Passmark参考ではRyzen5 3500Uを搭載しているAMDモデルの方が性能が高い。
GPUについて
またどちらも内蔵型グラフィックを搭載。AMDモデルはRadeon Vega 8、Intel CoreモデルはIntel UHD グラフィック 620。この場合、AMDモデルのRadeon Vega8の方が性能が高い。
メモリの違い
メモリの規格及びクロック数が異なる。
AMDモデルがDDR4、Intel CoreモデルがLPDDR3を搭載している。クロック数もそれぞれ2400MHz、2133MHzと若干異なる。このメモリ規格の前についているLPはLow Powerのこと。Intel Coreモデルが低消費電力メモリで、AMDモデルの方が電力を消費するが性能重視なモデルと見ればいいだろう。
プロセッサー両者とメモリを踏まえたバッテリー持ちについて
ちなみにプロセッサーやメモリの違いはバッテリー持ちに大きく影響する。公称値で言えば5.2時間という大きな違いがある。AMDモデルは性能が高いものの、消費電力も高い。
AMDモデルが公称値7.2時間、Intel Coreモデルなら12.4時間だ。持ち歩きを考えるならIntel Coreモデルだろう。
同梱品の違い
細かいが、同梱品が違う。Intel Coreモデルで同梱されていたMateDock2が同梱されず、代わりにUSB-CtoA変換ケーブルとなる。
MateDock2はUSB-CポートをUSB-C、USB-A、HDMI、VGAに変換するもので、既存の映像出力方式に簡単に拡張できる。
対してAMDモデルの同梱品ではHDMIとVGA出力ができないため、追加で変換ケーブルを買わなくてはならない。プレゼンの発表やモニターに出力する機会がある人はちょっと困るかもしれない。
価格の違い
現在最安値のAmazonで比較するとちょうど2万円の差がある。性能を取るなら、AMDモデルの方がコスパが高いだろう。充電持ちが心配な人はIntel Coreモデルを買うべし。
MateBook D15との違い

同じチップセットを搭載するMateBook D15と比較すると、様々な違いがある。主にボディ、画面性能、インターフェースの違いだ。
D15について詳細に解説した記事は以下。
ボディの違い
まずD15モデルはボディが大きい。画面サイズが2.6インチ拡大したことによって、幅は70mm、縦は19mm、厚みは2mm、重量は230g増加している。
デザインもキーボード横が開いたデザインとなっている。テンキーはなし。
画面性能の違い
画面性能としては、解像度が違う。AMDモデルは13インチながらWQHDディスプレイを採用していて、画素密度は200ppiだ。141ppiのD15と比較すると1.5倍近い差がある。
またコントラスト比がD15が800:1に対して、13のAMDモデルは1000:1だからくっきりと見える。輝度も50nits限界値が高い。
おまけに微々たる差だが、AMDモデルの画面占有率が88%と、D15よりも1%高い。
後半はよくわからない人も多いと思うが、とにかく画面が綺麗なのがMateBook13のAMDモデルだと思ってもらえればいい。
ボディサイズと画面性能からくるバッテリー性能の違い
画面性能が低く、ボディも大きいD15モデルの方が充電持ちに有利だ。公称値にしてAMDモデルよりも1時間長い、8.2時間となっている。
インターフェースの違い
インターフェースの多様さは、発表会などで大型のディスプレイやプロジェクタに投影する際に非常に重要だ。
上記のMateBook13のIntel Coreモデルで解説した通り、AMDモデルはそのままでは拡張性が低いため、拡張アダプタなどを買わなくてはならないが、D15モデルは筐体にUSB-AもHDMIのポートも搭載しているため非常に手軽。
価格の違い
最安値のAmazonでは62036円で販売されていて、79800円のAMDモデルとの差は17764円である。画面性能の圧倒的な差を考えるとMateBook 13 AMDモデルのクリエイターモデルとしてのコスパの良さが見えてくる。
このノートが桁違いにコスパが高い理由
画面性能が高い

まずは圧倒的に高い画面性能だ。フルHD(1920×1080)ばかりの画面のパソコン市場においてWQHD(2160×1440)の画面は非常に貴重なものだ。細かい点まで気を配るクリエイティブ作業にフルHDより解像度が高いパソコンは必須であり、そして綺麗な画面でなくてはならない。その綺麗さに直結するスペック、色域もsRGBを100%カバーしていて鮮やかに見える。
そして13インチ以上のノートパソコンでフルHDより解像度が高いものにおいては最も安い。安くて画面が綺麗なパソコンと覚えておこう。
同価格・性能帯の中でも薄い

価格.comを使用して筆者が調査した。
このノートパソコンと同じく13インチ〜14インチ未満の画面で
8GBメモリ、同じくらいのCPUパフォーマンス、7〜10万円の価格帯を指定して検索した。
そのなかでは最も薄かった。またInspiron13 7000のように1kg切りをするくらいの飛び抜けた軽さはなかったが重さも目立って大きくはない。
Huawei製品の連携が使える

そしてこの製品最大の特徴がHuaweiShareに代表されるHuawei製品の連携だ。HuaweiShareはHuawei製品間のデータのやり取りである。具体的な検証は以下の記事を読んで欲しい。
低価格のタブレットやスマホでもこのやりとりが可能であるため、非常に低コストで利便性を享受できるシステムだ。
またHuaweiShareのうち、マルチスクリーンコラボレーション機能が使えるのも特徴で、Huaweiスマホを画面端に投影してシームレスに操作できるほかファイルのドラッグ&ドロップも簡単にできる。

スマホメーカー、Huaweiが作ったエコシステムは遅れながらも高い完成度でスムーズに連携が使えるものとして特におすすめできる。MacBookを連携目的で買うように、MateBookを連携目的で選ぶのもなんらおかしくないほどに完成してる。おまけに閉鎖的な独自OSのMacBookに比べれば、おなじみでマスタマイズもできるWindowsであることは、現Windowsユーザーにとっては朗報だろう。
MacBook Airとの比較

それではここから、MateBook13 AMDモデルとMacBook Airの比較をしていく。画面性能、処理性能、バッテリー性能、インターフェース性能、携帯性について検証する。
画面性能

これに関してはMacBook Airの方が少し上だ。やはりAppleは画面に手を抜かない。ただMateBook13 AMDも十分高性能だった。
サイズと解像度
MateBook13 AMDモデルの画面解像度は2160×1440で13インチ
MacBook Airの画面解像度は2500×1600で13.3インチ
画素数も大きさもMacBookの方が大きい。では画素密度はというと、
AMDが200ppi、Airが227ppi。より細かく見えるのはMacBookだ。
色域と最大輝度
色域はどちらもsRGB100%なので遜色ない。
また、輝度に関してはどちらも300nitsだからまたしても遜色ない。
両者のディスプレイを比較した時、色が綺麗に見えるかに関してはほぼ互角である。
処理性能

全体的にはほぼ互角という判断にさせていただく。
そう考えた根拠は以下のとおりだ。
CPUについて
処理性能に関しては、MacBook AirはMateBook13 AMDモデルと同じかそれより少し上な結果になる。
Geekbench5のスコアだとシングル性能で1.5倍の性能がある。マルチだと1.08倍。最大パフォーマンスはあまり変わらないが、感じるサクサクさはAirの方が上だ。
GPUについて
グラフィックについては、Ryzen内蔵のVega 8が効力を発揮することとなる。
Geekbench BrowserのOpenCLチャートや既に計測されたデータではVega8の方が1.5倍の性能でMacBookのIntel Iris Plus Graphicsに優っている。ゲームも、動画編集も司るグラフィック性能に関してはMateBookに軍配が上がるというわけだ。
メモリについて
メモリに関してだが、MateBook13 AMDモデルがDDR4の2400MHzに対してMacBook AirはLPDDR4Xで3733MHzだ。メモリに関してはMacBook Airの方が同じ容量で爆速だから、圧倒的に優れている。省電力規格だし。
MacBook Airの高いベンチマークスコアを出しているのもこのメモリのおかげだろう。
バッテリー性能

バッテリー性能に関しては、Appleが独自にテストを実施しているため正面からの対決はできないのだが、最大11時間、12時間などの公称値を見ている限りではMacBook Airの方がAMDモデル(公称値7.2時間)に対して電池持ちがすこぶるいい。
ちなみに重量は約1.3kgとほとんど変わらないため、処理装置や画面の性能が大きく関わってくる。
MateBookの電池持ちが劣っているのはおそらくRyzen5の影響だろう。安価で高性能であるが、電池持ちは悪い。
インターフェース性能

MateBook13 AMDモデルがType-C2ポート(3.0、2.0)+イヤホンジャックに対してMacBook AirがThunderbolt3に両方とも対応する。Thunderbolt3だから高速通信のほか高画質の映像出力も可能。インターフェースとしてはMacBook Airの方が圧倒的に優れている。
一方でMateBook13 AMDモデルに関して優れていることは、配置が違うことだ。Airは片方に2つしか付いていないが、AMDは両方に1つずつ付いている。性能こそ劣るが、便利な配置はMateBookである。
そしてType-Aアダプタが同梱してくるのも好印象。USB-Cが増えてきた今でもインターフェースとしてAポートは現役だからだ。
総合的には配置の方を重視するのでMateBook13 AMDモデルが優れていると判断する。
携帯性とデザイン

ボディサイズはMateBook13 AMDモデルの方がMacBook Airよりも小さく、持ちやすい。
AMDはAirよりも、幅で2cm近く、縦で1mm、薄さに関しては最厚部で1.5mmの違いがある。Airはヒンジ部分からなだらかに薄くなっていくデザインだから、持ちやすさや携帯のしやすさに関してはAMDの方が優れていると言える。
デザインは好みがあるが、筆者はAirの方が好きだ。
総合結果

全体的な性能の比較評価として、MateBookの方が優れていると感じる。クリエイティブ性能という点で見れば、使いやすさとグラフィックに拘ったMateBookの方が高性能といえる。もちろんMacBook Airの電池持ちや画面性能も捨てがたい。
最後に両者の価格はMateBook13 AMDが79800円。MacBook Airが115280円だから差は35480円だ。この差を考えればMateBookがいかにコスパに優れているかわかるだろう。
MacBook Airの購入はこちら。
IdeaPad S540 AMDとの比較

そしてここから、MateBook13 AMDモデルとIdeaPad S540の比較をしていく。上記と同じく画面性能、処理性能、バッテリー性能、インターフェース性能、携帯性について検証する。
画面性能
画面性能に関しては、IdeaPad S540の方が上である。そう思った根拠を述べていこう。

サイズと解像度
解像度に関して、MateBook13 AMDモデルは2160×1440の13インチ。
これに対してIdeaPad S540は2560×1600で13.3インチ。
画素密度は227ppiのS540の方が大きい。より細かく見えるのはS540ということになる。
色域と最大輝度
色域はsRGBをほぼ100%、最大輝度も300nitsということで両者とも同じ結果に。ノートパソコンの中では特に優秀だと言える。
処理性能
処理性能ではわずかにIdeaPad S540が上回った。

CPU性能
CPU性能に関しては、シングルコア性能、マルチコア両者でRyzen5 3550Hを搭載するIdeaPad S540がわずかに上回った。シングルコアは5%、マルチコアは10%の性能の高さがある。まあほぼ変わんない。
GPU性能
GPU性能に関しては、同じRadeon Vega 8を搭載する両者だから、差がない。
メモリ性能
メモリに関しては、DDR4、2400MHzと規格もクロック数も同じなので性能差は特にないと思われる。
バッテリー性能

バッテリーに関してはRyzen5を搭載しているとはいえ、IdeaPad S540の方がかなり持つようになっている。公称値で14時間。MateBook13 AMDの7.2時間とは大違いだ。消費電力に関してはRyzen5 3550Hを搭載するIdeaPad S540の方が電池をより早く消費してしまいそうだとは思うが…バッテリー容量が大きいにしてもIdeaPad S540の方が軽いし、謎は深まるばかり。
ちなみにどちらのパソコンも給電はUSB-Cポートから行う。重い上に長く、持ち運びに面倒なDC充電器ではないため便利だ。
とにかく、IdeaPad S540の方が充電持ちが圧倒的に高いのは間違いない。
インターフェース性能

インターフェースは、両方にTypeCポートをつけているMateBook13 AMDよりも、TypeAがさらにあるIdeaPad S540の方がより使いやすいことがわかる。MateBook13 AMD同梱のTypeA変換ケーブルがあっても、もともと本体に付いている利便性には敵わない。さらにどのポートもUSB3.0に対応していて、転送速度に期待できる。
インターフェースはIdeaPad S540の方が優秀。
携帯性とデザイン

IdeaPad S540も狭額縁ディスプレイを採用しているため、13.3インチのパソコンの中では小さい方である。それでもディスプレイの小さいMateBook13 AMDが小さかった。
AMDはS540よりも幅が1cm小さく、縦が3mm小さい。厚みは1.6m薄くて質量は50g重いだけ。よって携帯性はMateBook13 AMDの方が高いと言えるが微々たる差である。
デザインに関しては、MateBookの方がこのみ(筆者は)。
総合結果

全体的な性能の比較評価として、IdeaPad S540の方が性能が高い。ほぼ全方向に置いて必要以上の性能を極めている。しかしながら、MateBook 13AMDの方も電池持ち以外では健闘していて、外出をメインにしない人ならばほぼ同じ使用感である。
最後に、IdeaPad S540が86486円。MateBook13 AMDが79800円であることを考えると、より安いMateBook13 AMDの方がコスパが高いと言えるのではなかろうか。MateBook13 AMDの方はHuawei Shareという付加価値もある。
Idea Pad S540の購入はこちら。

まとめ

総合的に見ても、このMateBook 13 AMDは目を見張るほどの性能の高さを誇っており、そのぬかりのなさはコピー元のMacBook宛らである(Huaweiには申し訳ないと思っているが事実だ)。HuaweiShareなど付加価値の高さも魅力だ。さらに値段が8万円を切るスタートとなっているため、性能も、デザインも、画面の綺麗さも、携帯性も、機能も全てに置いて妥協したくない人のためのWindows機として筆者が最高のノートと評する理由が以上である。
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