モバイル用OSという点で見れば、Apple VS Googleは多くの人が意識するかもしれない。世界的に見ても知らない人はいないであろうこの対決は、人々の意識を集め、時に激論が交わされる重要な問題である。みんなにとって最も身近なグローバルツールの勝負を、廉価版スマホの土俵で見ていこう。
目次
基本的なスペック
iPhoneSE | Pixel3a | Pixel3a XL | |
縦 | 138.4mm | 151.3mm | 160.1mm |
横 | 67.3mm | 70.1mm | 76.1mm |
厚み | 7.3mm | 7.6mm | 8.2mm |
重量 | 148g | 147g | 167g |
カラー | ブラック、ホワイト、レッド | ブラック、パープル、ホワイト | ブラック、パープル、ホワイト |
画面サイズ | 4.7inch | 5.6inch | 6.0inch |
SoC | A13 Bionic | Snapdragon 670 | Snapdragon 670 |
RAM | 3GB(推定) | 4GB | 4GB |
ROM | 64GB~256GB | 64GB | 64GB |
拡張ROM(最大) | なし | なし | なし |
生体認証 | 指紋認証 | 指紋認証 | 指紋認証 |
カメラ | 単眼 | 単眼 | 単眼 |
おサイフケータイ | あり | あり | あり |
この中では、外観などそれぞれの特徴が、ユーザーの都合によって優劣が決まるので甲乙つけがたいものが多いのだが、iPhoneSEのA13チップが目を引く。廉価版なのかと驚く性能だ。
外観
iPhoneもPixelもシンプルな外観。
SE

SEはアルミのフレームで手に馴染みやすいボディでありながら背面がガラスであり、しっかりと高級感がある。SEは、ベースモデルとなったiPhone8と比較して、前面が黒に統一され、Appleロゴが中央に移動。ロゴは金属光沢の仕上げで所有感は高い。
大きな違いは、指紋認証ボタンの位置であろう。SEが前面にあるのに対して、3aはボタンを背面に備えている。
3a

3aは、プラスチックのボディで、中央から下は艶消しの加工に。ガラスを使用したPixel3と比較してダウングレードされている。前面は画面消灯時や有機ELの効果によって、前面ガラスで縁無しデザインに見えて高級感は少しだけ高い。ロゴは背面下にポツンと「G」。SEに比べれば高級感はないがおもちゃ感がどこかワクワクさせる。
結論としては、高級感のSE、おもちゃ感の3aと、それぞれに良い意味での隔たりがある。コンセプト的な違いにより甲乙付け難い。
画面性能
SE

4.7インチは小さい。今のスマホの売れ筋を見ていると、画面は最低でも5インチ以上、6インチも普通である。また、このディスプレイはP3、コントラスト比1400:1と広色域で、なおかつ鮮やか。画素密度は326ppiと低めだが、ドットの発光が鮮やかで、ドットを感じさせられない。筆者の体感では400ppi相当には綺麗だと思う。
3a

3aは5.6インチでXLよりも比的にわずかに縦長。3a XLは6.0インチと大型画面である。ディスプレイは有機ELを使用しコントラスト比は100000:1に。色域も広く、発色が鮮やか。画素密度は441ppiと高密度。
結論としては、有機ELで鮮やかなのはPixel3a。大画面の選択肢もある。
電池持ち
SE
SEの電池持ちはA13チップの省電力性能により抑えられ、8と同じバッテリー駆動時間と公式が発表しているものの、次の動画などによる検証によると、33%ほどの電池持ち向上に貢献しているようだ。
次の動画における検証では最も電池持ちが悪く、駆動時間も4時間に満たないため絶対的な持ちは他のスマホに比べ悪い方である。
しかしながら重量もS20と比較して15g軽く、有機ELではなく液晶を使用していることなどからライトユース向きの小型端末としては普通なのではないだろうか。
3a
3aの電池持ちは有機ELを採用したこと、バッテリーの容量が1.6倍であること、チップにパフォーマンスの低いモデルを採用することによって省電力性能をはかり、駆動時間はSEよりも長いと思われる。
3a XL
3a XLに関しては、同期のMate 20 Xや、Zenfone6などを上回り、トップの電池持ちに。バッテリー容量に加えて、画面やチップの消費電力が低いのも挙げられそうだ。
他の動画でも、ハイエンドなどを次々に圧倒。やはり重量は抜群に軽いため、消費電力そのものが低いのだろう。
結論としてはSEは前世代と比較すると健闘したが、3aの圧勝。
カメラ
SE

SEのカメラは物理的にほとんどiPhone8と同じであり、検証動画でも動画性能や昼間の撮影能力が変わらない点が指摘されている。しかし、ソフトウェアが圧倒的に違うため、HDRや拡張ダイナミックレンジ、ポートレート機能などの進化点は大きい。もともと動画撮影能力はiPhoneの強みだが、手振れ補正も強化された。
3a

3aのカメラは、強力なソフトウェア調整によりSEと比べてできることが多い。まずは先ほどのSEの機能はもちろん搭載の上、夜景モードが搭載されている。さらに望遠カメラを搭載していないが、ズームも鮮明で性能は高い。Pixelシリーズのカメラはモードを自動で切り替えてくれるAIが搭載されているためシーンに合わせた撮影が期待できる。動画撮影能力はSEよりも低い(色が薄く、ブレも大きくなりがち)と考えている。
結論として表すなら、動画のSE、写真の3a。総合的には同じくらいの性能。
機能・性能
おサイフケータイ

両者ともに日本仕様のおサイフケータイを搭載。しかしSEに比べて3aはAndroidなのでSuica以外の、EdyやWAONなどに対応しており、便利。
処理性能
処理性能ではSEに3aが大きく劣る。
参考としてAntutuベンチマークv8を用いると、
iPhoneSEが45万〜50万点を出せるパフォーマンスを持っているのに対して
Pixel3aは17万〜20万点にとどまる。簡単な3Dゲームが辛うじてプレイでき、普段使いには問題ないが、今後のOSやシステムによってカクつく可能性が否定できない。OSのアップデートはあと2年提供されるが、提供が終わる頃には今の通りの使用はかなり厳しいと思われる。

SEはA13チップの性能が高いため、OSのアップデート提供が終わる頃でも問題なく使えると考えられる。現在、最新のiOS 13を使用できる機種で最も古いiPhone6sや第1世代SEがAntutu15万〜20万点を出せており、使用が問題なくできることからも、「長く使えるiPhone」は信頼できるキャッチであることがわかる。
結論としては、SEの圧勝。
防水性能

防水性能だが、SEがIP67等級(水深1mで30分耐久)、3aでIP52等級(水滴付着対応)を考えると、水没させても平気なSEの圧勝だと考えられる。
結論、SEの防水性能が圧倒的に強い。
価格
公式サイトとキャリア、他のサイトやセール時の価格を見てみよう。
iPhoneSE | Pixel3a | Pixel3a XL | |
公式サイト | 49280 | 49500 | 61160 |
キャリア | 57024 | 36720 | 62880 |
ショップサイト | 49280 | 40000前後 | なし |
セール時価格 | なし | なし | 39160 |
iPhoneは公式でもキャリアでも、値引きが全くない。ブランド維持と中古価格維持のために必要な手段なのだろう。このおかげで中古価格が高く、ユーザーに次の新機種に乗り換えてもらうよう支援している。
Pixelは家電量販店などでSIMフリーが売られることがなく、公式サイトのみになることが多いのだが、時間が経ったりセール開催時には大幅な値引きがされることが多い。筆者もセール時に22000引きで購入している。
キャリアは現在Softbank専売。
筆者の実機レビューはこちら。
しかしながら、SEが発売したてなので、これから4年半、最新OSの提供を受けながら使えるというのも魅力。3aがこれから3年使えるとすると、1年あたりにかかるコストはわずかにSEの方が低い。
結論としては、SEよりも3aの方が安く購入できるが、長く使える分SEのほうがトータルで安い。
結論 結局どれが「買い」なのか。

筆者的には、両者を比べた時Pixel3aの方が高機能だが、iPhoneSEを買うべきだと思う。もっとも、これを見ている皆に大画面の選択肢しかない時はPixel3aを選んだ方が良いとすすめるが、
iPhoneSEの方が
トータルコストが安い
処理性能が2倍以上高速
防水性能や保証が充実
であることから、安心して使えるからである。
もちろん、Pixel3a の、
かなり強い電池持ち
鮮やかで迫力のあるディスプレイ
高機能カメラ
といった特徴も捨てがたいが、これらを求めない人にとってはiPhoneSEを買った方が幸せになれるというのは私の感想である。どちらにもいい点があって面白い勝負だった。
紹介したiPhoneSEの購入はこちら。
Pixel3aの購入はこちら。
国内版SIMフリー Google Pixel 3a 64GB Clearly White
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